今の時代が最高

2008.02.14
未―コラム記者ノート

 「今の時代が最高」。篠山市今田町上立杭の清水まり子さんの丹波篠山ビデオ大賞入賞作品に登場する84歳の女性の台詞だ。彼女は古布を使ったアップリケや句集を作る、「普段着のアーティスト」として紹介されている。 若い人たちが「今の時代はめちゃくちゃ」などと不満を言うことに対して、戦争を経験し、もののない時代を過ごした彼女には、今の時代がとても便利ですばらしいという。 清水さんは「いろんなことを経験しながら生きてきて言えることで、私たちでは言えない」と言い、この言葉の印象を「重くて、でもすがすがしい」と表現する。 私自身、この言葉が忘れられない。一度も聞いたことがなかった言葉だからだ。清水さんと同じ印象に加え、うらやましさを感じた。彼女のような考えなら、今がもっと楽しいだろう。 私たちは、便利な時代に慣れきっている。何かが少しでも悪くなれば、不満が噴出する。きっと本心から「今が最高」と言えることはないかもしれない。でも、彼女のような人もいると思えば、少し冷静になれるのではないか。いつか彼女に会って、じっくりと話してみたいと思う。(森田靖久)

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