夢のような国

2008.03.17
未―コラム記者ノート

 先日、2カ国の人に取材する機会があった。そして、その2件ともに、深く、考えさせられる発言だった。 1人目は、技能研修生として篠山市で働くベトナム人の青年だ。ベトナム人の仲間たちとサッカーチームを結成したが、今月末には帰国する。普段は工場で働き、休日はサッカーの練習をするなど、日本での生活を満喫していた。そんな彼が、高校生との試合前、「日本を離れたくない。だからこそ、心を込めて試合に臨みたい」と笑顔で話していた。 もう1人は、教育の機会に恵まれないバングラデシュの子どもたちを支援している市内のグループにお礼を言いたいと訪れた現地人の言葉。彼の発言には息をのんだ。「なぜ日本人は、食べ物もあるし、勉強もできるのに自殺者が多いのか。理解できないので、理由を教えてほしい」。真剣な面持ちで話した。 2人とも共通して言えることは、この国をすばらしいところだと思っていることだろう。不満ばかりが渦巻く日本だが、彼らから見れば、私たちは夢のような国で生きているのかもしれない。2人の発言を重く受け止め、肝に銘じておきたいと思う。(森田靖久)

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