高校時代、コーラス部だったせいで、柏原高校の校歌はよく覚えている。一般の生徒より多く歌ったから当然のことだとは思うが、1番ならば今でもしっかり歌える。一方、小学校・中学校の校歌も、高校のそれと比べると歌う機会が少なかったはずだが、わりと覚えている。冒頭さえ思い出せば、これまた1番は楽に歌える。 これだけ覚えているということは、やはり校歌というものは特別な存在なのだと思う。そんなことを考えると、柏原高校の4月からの新入生が、同窓会から校歌など3曲が入った音楽CDを贈られたことは、素直に「ああ、いいなあ」と思った。長く歌わないといつかは忘れてしまう。完全版が手元にあることはうれしい。 記憶の奥から校歌をたぐり寄せる際、歌詞やメロディーが浮かんでくると同時に、ぼんやりとした、当時の自分のかけらのようなものに触れる。甘酸っぱかったり、恥ずかしかったり、苦かったり。思い出とともに、様々な感情もよみがえり、思わずほほ笑んでしまう。新入生たちは10数年後、どんな思いとともに校歌を思い出すのか。3年間でじっくり育んでほしい。(古西広祐)