醍醐さんの生き方

2008.10.16
未―コラム記者ノート

 先月亡くなられた篠山出身の歌人、醍醐志万子さんは、大正末生まれの気丈な女性だった。初めてお会いしたのは確か5年ほど前で、ゴールデンウイーク特集用の「おすすめの1冊」を伺いに上がった。薦めて下さった本は岩波文庫の「君たちはどう生きるか」。中学生向けの本で、主人公コペル君の等身大の悩みに対する叔父さんの回答が味わい深い本だった。 醍醐さん自身、自分が思う生き方を貫かれた。篠山で生まれ、戦争を経験、結婚、離婚の後、短歌と書の世界を追求していった。 「自分に厳しく、弟子にも厳しい先生でした」。お弟子さんの一人から「篠山にこんな素晴らしい歌を詠む先生がいるということが誇りでした」という言葉を聞いたのが印象に残っている。地元を離れ活躍している人は多くいるが、地元に住みながら外でも評価を受け、高いレベルでその地域に文化的な刺激を与えている人は、本当に貴重な人材と思う。 話はそれるが、醍醐さんが阪神タイガースの大ファンだったと聞いて急に親しみがわいた。もっといろいろとお話を伺いたい方だった。(徳舛 純)

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