一面枯れ草色に覆われた静かな冬の田園地帯に緊張が走る―。褐色の草むらの中から突然「ブオーッ」という羽音と共に、何十羽ものスズメが狂ったように飛び出した。その後をハト大の小さなタカ「ハイタカ」が猛スピードで追いかける。一羽に狙いをつけ、体当たりをするように、空中でわしづかみにした。その瞬間、スズメの体が爆発したかのように、あたりに無数の羽根が飛び散った。 小さなタカの狩りのシーンを目の当たりにして、興奮のあまり体が震えた。 9月21日号の記事で「タカの渡り」を紹介したが、越冬のため東南アジアなどの南方へ渡っていくタカもいれば、同じく越冬のため、北方から丹波地域などに渡ってくるタカもいる。またこの時期に渡ってくるタカは、野ネズミや小鳥を主食とするので、狩場がおのずと人目につく農耕地ということになる。このことから、「タカ観察にもってこい季節」なのである。正月休みの何日間を「タカ観察」にあてようと思う。あなたの家の近所で、双眼鏡片手に、田んぼをうろつく怪しいおじさんを見かけたら、それは私かもしれない。 (太治庄三)