ピピピ―。計測終了を告げた体温計を見ると表示には「39度」。当時小学生だった私は、熱に浮かされ、朦朧(もうろう)とする意識の中、ひたすら両親や祖母にしがみついていたことを覚えている。 インフルエンザが丹波地域で猛威を振るっている。本紙でも、毎号のように学級、学年閉鎖のお知らせ欄が続く。 そのしんどさたるや尋常ではない。発熱、悪寒、頭痛、咳、倦怠(けんたい)感―。どれ一つとっても、十分つらい症状だが、それが一度に襲ってくる。頭の中は、「しんどい」という言葉で埋め尽くされる。 大学進学以降、一人暮らしを続ける私は、病になった時ほど「家族の大切さ」が身にしみる。この歳になって誰かにしがみつくことはないが、誰かがそばにいてくれるだけで、きっとつらさは和らぐ。病の時の一人暮らしほど寂しいものはない。 丹波地域に居住する人の大半が家族と一緒に生活しているだろう。インフルエンザが猛威を振るう今だからこそ、家族の大切さを再認識する機会だと思う。全快した時には、家族にこう言ってみてはどうか。一言「ありがとう」と。(森田靖久)