贅沢な趣味

2009.06.01
未―コラム記者ノート

 先々週、両親とわが家の田植えに精を出した。今年はこれまでにないほど、苗をまっすぐ植えることができた、という満足感に浸っている。苗をまっすぐ植える?と農家ではない人からすると疑問に思われるかもしれないが、アスファルトの道路とは違い、泥の中をまっすぐ進むことは思っているほど簡単なことではない。ましてや長辺が50メートルほどの田んぼになると、いつの間にやら左へ右へ。進行方向の畦に咲く花や石ころを目印に見据え、余計なことは考えず、ただまっすぐ田植え機を走らせればいいのだが、運転や作業が単調なだけに、ついつい頭上を旋回するトビに気を取られたり、仕事のことを考えたりして、気がつけば大きく曲がっていたなんてことがよくあるのだ。 仕事の都合上、ほとんど親まかせの米作り。おまけにまったく儲かる気配すらなく、将来どうしたものかと悩むこともある。しかし、主食を自分の手で育てているという充実感と安心感、生きものあふれる田んぼで体を動かし、肉体、精神両方の健康維持ができる贅沢な趣味だと思えば、米作りもまんざら悪いものでもない。(太治庄三)

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