6文字に左右されず

2009.08.24
未―コラム記者ノート

 今さらながら某有名小説家が20年前に出版した大ベストセラーに手を付けている。抽象的な表現や深い心理描写…。読解力が乏しいのか、私の好みでないのか、んー難しい。 この本を買った翌日、衆議院が解散した。今では各立候補者が、喉がすり切れんばかりの論戦を繰り広げている。私も選挙番記者を拝命。初めての衆院選に、私の脳みそもすり切れ気味だ。 この選挙は、政権選択選挙と呼ばれている。この単純な6文字を広めたのは、出来事を単純明快にして伝えるマスコミ。誰だって単純な方がわかりやすい。 でも、本当に考えなくてはならないものを単純化しすぎることは怖い。政権が左右される選択なら、なおさらだ。 たとえ少し難解であっても、よく考えて読み解くことは大切なこと。でなければ、この本はベストセラーにならなかっただろう。 「自分たちの代表を、単純な理由で決めてはダメ。各候補の訴えを聞き、自分が最もふさわしいと思う人へ票を投じよう」 眉間にしわを寄せ、本の頁をめくりながら、そんなことを思った。 (森田靖久)

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