わが山のキノコたち

2009.09.28
未―コラム記者ノート

 篠山でマツタケ初競り、35万円なり―。なんとも景気の良い秋の便りが届いた。こんな話を耳にするたび、なぜ同じ篠山に住んでいながら、わが太治家の山にはマツタケが生えないのだろうと、悔しい気持ちでいっぱいになる。 マツタケが生えない代わりに、先祖代々その見分け方と発生場所を受け継いできた10種類程度のキノコがある。代表的なものを挙げると▽クセがなく風味のいい「ノノビキ(ニセアブラシメジ)」▽独特の苦味と歯ざわりが楽しめる「アカタケ(サクラシメジ)」▽サンゴのような形からは想像できない良質の食感と風味を持った「ネズミの手(ホウキタケ)」▽表面の突起が不気味で、乾燥させると強烈なにおいを放つ「コウタケ(コウタケ)」―などがある。 山中を歩き回ってキノコを採集する行為は、まるで宝探しをしているようで刺激的。食べられないキノコであっても、自然界がふざけて作ったのかと思わせるきてれつな姿を眺めているだけで十分に楽しめる。それもまたキノコの魅力である。森の香り漂う、個性的なキノコたちが、食卓に並ぶ日が待ち遠しい。 (太治庄三)

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