いつか、その日まで

2009.10.08
未―コラム記者ノート

 先日、取材先の愛犬が亡くなった。「よく一緒に散歩した」「出べそだったんですよ」。記憶の糸をたぐるように言葉を選んでは、思い出を聞かせてくれた奥様の少し寂しい笑顔が今も目に焼き付いている。 日曜日号の連載「うちの家族(ペット)」。愛犬家の私が渋る他の記者を説得してスタートしてから、おかげ様で1周年を迎えることができた。 これまで出会ったたくさんの家族たち。彼らの思いを代弁することは人間の傲慢とわかっていても、確かにみな幸せそうだった。そして、飼い主たちもみな、「いつまでも元気でいて」と願っていた。 だが、ペットも人も、別れは必ず訪れる。考えないようにしていても、その歩みを止めることは誰にも出来ない。 だからこそ、いつか来るその日まで、大好きな人の、大切なペットの心臓が脈打ち、肌が温かいことに感謝し、幸せに思える時間を長く共有したい。もしも先に召された時は、「今まで本当にありがとう」と伝えたい。 この記事を読んで頂いたみなさんにそう思ってもらえたなら、私も、奥様の愛犬も、とてもうれしいと思います。  (森田靖久)

関連記事