ハニーハンター

2009.10.12
未―コラム記者ノート

 そろそろハチミツの時期、一緒に取りに行かへん?―。昨年わが家の裏山に仕掛けた巣箱に、先日、ニホンミツバチが出入りしているのを確認したと言う、近所の友人S君とF君からの連絡だった。 早速森へ。2人はネット付きの麦わら帽子に、分厚いゴム手袋を装着しての完全防備。私は写真係なので至って軽装。ミツバチが攻撃してくる黒い部分を隠すため、白いワイシャツに、白い手ぬぐいを頭に巻いて挑んだ。 2人が高さ60センチ×30センチ角の巣箱を静かにひっくり返すと、8層からなる大きなハチの巣がぎっしりと出来上がっていた。「大漁や…」とS君。普段はおっとりしている彼の目がネットの奥で鋭く光り、ハンターの目つきになった。怒り狂ったミツバチたちが我々の周りを激しく飛び交う中、2人はまったく物怖じせず、新しい巣箱にミツバチを移住させた。「来年もまた蜜をとるために、この新しい巣箱で越冬してもらわないと」とF君。蜜のしたたり落ちる巣を手際よくヘラでこそげ落として回収した。森の中に漂う蜜の甘い香りが、緊張から解き放たれた体に心地よかった。      (太治庄三)

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