「県共進会3連覇を狙う」。篠山市味間奥の田中畜産さんから意気込みを聞いたのは、今年の初め。うし年にちなんだインタビューの中でだった。そして10月27日に篠山城跡三の丸広場で行われた大会でこの言葉は見事実現。兵庫県畜産共進会91回の歴史の中で初の快挙を成し遂げられた。 田中久工さん(35)と父潤平さん(68)、牧場主任の長澤克幸さん(34)が飼育を担当している。 畜産業にとっての牛はかわいいだけのペットではない。久工さんは「牛は経済動物。持っている力を発揮させ、生涯を最高の形でまっとうさせてやるのが牛への恩返し」と愛情を語る。 JA職員として担当していた畜産の仕事がおもしろくなり、牛飼いに転身した長澤主任の言葉はいつも渋い。今回も「祭りの場で勝たせてもらったが、兵庫県一になったわけではない」と謙虚。「いいライバルたちがいるからこそ技術も伸びる。人生においてもそうですね」と語ってくれた。 夢や愛情ばかりを語る2人の話を聞いていると、楽ではないはずの畜産業がいつも魅力的に見えてくる。(徳舛 純)