鎮守の森のフクロウ

2010.05.10
未―コラム記者ノート

 近所の鎮守の森の大木にフクロウが巣を構えた。10年前にも1度巣を構え、2羽のヒナが巣立ったが、それっきり。久しぶりの出来事に心が躍った―。 今回もどうやら2羽らしい。昼間はかぼそく鳴いて、よほど巣に近づかないとその声は聞こえないが、夕暮れを迎える頃には、「ピジューピジュー」と巣穴から身を乗り出してけたたましく鳴き、親鳥にエサをせがんでいた。そんなヒナの声に呼応して、向かいの森から親鳥が「ゴッゴッゴッゴッ」とやさしく鳴き返す。「鳥の世界にも親子愛があるんだなぁ」と、暮れなずむ鎮守の森でやさしい気持ちになった。 フクロウは全長約50センチ、体重は500グラムから1キロ程度。私の観察エリアでの繁殖期は3月中旬で、産卵数はおおむね3卵。約28日でふ化し、その後1カ月足らずで巣立ちをする。数日もすればこのヒナたちも巣立ちを迎えることだろう。 フクロウが巣立ったあと、初夏の空気に包まれた里に、南方から小型のフクロウ「アオバズク」が渡ってきて、空き巣で営巣を始める。自然とは、まったくうまくできている。      (太治庄三)

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