先日、NHKスペシャルで「恐竜絶滅―ほ乳類の戦い」が放送され、篠山層群の丹波竜やほ乳類化石と重ねながら、興味深く見入った。約6550万年前、直径10キロの巨大隕石の衝突がもたらした恐竜絶滅。その大異変とその後を生き延びた生物やほ乳類同士の競争の中から、いかにして我々人類につながったのかを探り、迫力のあるCGで再現した内容だった。 番組では、私たちほ乳類の祖先であるネズミのような生きものが、恐竜の影におびえて暮らす様子を紹介。また「恐竜の一部には抱卵する者もおり、環境の変化を受けにくいこの繁殖形態のお陰で、隕石衝突後も生き延びた」と解説。「この恐竜の前あしには、卵を温めるための長い羽毛があり、これがのちに鳥を大空へと導いた翼になった」とのくだりが印象的だった。 次の日、庭先でしっぽの切れた一匹のトカゲが、警戒しながら私の足元を横切った。わが家の愛猫に襲われたのだろう。ビクビクとおびえながら走り抜けたその姿が、昨夜見た番組の恐竜と重なり、時代の経過とともに大きく逆転した互いの立場の違いに笑いがこみ上げた。 (太治庄三)