うだるような猛暑だった先日。「ここらでひと雨ほしいところですね」と、近所の方とあいさつを交わしたその日の夕方―。願いが通じたのか、南西方向から真っ黒な雨雲が雷鳴を引き連れてやってきた。 「ひょっとしたら稲妻の写真が撮れるかも」。過去に数度、稲妻の写真を撮ってきたが、満足のいくものがなかったので、ここぞとばかりにカメラを三脚にセットし、雨に濡れないよう軒下で待ち構えた。 どしゃ降りの雨の中、何度も稲妻が辺りの景色を照らし出す。しかし、私の構えるカメラのフレームからは遠く離れた場所ばかり。「やはり一筋縄ではいかへんなぁ」とあきらめかけたその瞬間、目の前が真っ白に。「やばいっ、近すぎる」と身を縮めたと同時、田んぼをはさんで200メートル先の民家の電柱と、さらにその奥の300?ほど離れた電柱計2本にカミナリが直撃。電柱からは火花が飛び散り、そのあとに「もわっ」と煙が立ちのぼった。 「稲妻の写真を」と撮影に意気込んでいた私だったが、腰が抜けそうになって慌てふためき、もうそれどころではなかった。 (太治庄三)