柏原の谷口農園さんから、「フルーツトマトをメーンで栽培するのを今年で最後にします」との連絡。本当に甘くておいしいので、もったいないな、と思いながら伺った。
フルーツトマトとは、一般のトマトと苗は同じだが、育て方が異なる。少ない水を与え、小ぶりで糖度の高いトマトに育てたものが「フルーツトマト」。谷口さんは、誰にでも育て方を教えている。
「ヘタと反対側の尖った方から、放射状の線が入っているのが甘さの印」と教わった。今までトマトを買う時、線の入ったのは何となくおいしそうに見えなかったと言うと、「消費者は知らないことが多いんです」と言われた。
形が崩れたトマトができないよう、冬場は夜中じゅうハウスを暖める。昨冬は、暖房費節減のため、建築廃材をもらって燃やし、仮眠しながら火の番をしたという。
けれど、こんなに苦労して育てたフルーツトマトより、安いミニトマトがよく売れる。それなら、割り切ってそちらを作ろう。そう考えている。
「見た目だけで売れる。市場がおかしいんです」。田舎から、正しい判断ができるようにしたい。 (古西 純)