着ぐるみ

2011.07.14
未―コラム記者ノート

 もこもこの毛並みに、おそらく2・5頭身ほどであろう巨大すぎる頭。まさか自分がこの中に入る日が来るとは。
 先日、あるイベントで着ぐるみに入った。守秘義務のため、何のキャラクターであったかは伏せておく。
 まずは主催者から2つのお約束。絶対にしゃべらない脱いでいるところを目撃されない―。意外に真剣な目で「よろしく」と念押しされた。
 夏とはいえ、幸いにも活動場所は室内。半袖半パンでちょうどいいくらいかと思いきや甘かった。2、3歩歩いただけで汗が滝のよう。吸う空気が熱い。サウナの中で運動したと想像してほしい。
 「かわいい」という子どもの歓声。「暑いのに大変やなぁ」という大人からの労い。いろんな声が、わずかに空いた目と鼻の穴から聞こえてくる。そんな声に元気をもらいながらも体は脱水状態へ向かう。
 休憩を挟みながら、実に4時間。初の着ぐるみ体験は終演を迎えた。
 着ぐるみを脱ぐと、キャラクターも私の汗でびっしょり。それでも変わらぬ笑顔をたたえていた。「お互いご苦労さん」。そう言って、キャラクターに別れを告げた。(森田靖久)
 

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