さよなら、お巡りさん

2011.09.17
未―コラム記者ノート

 暮れなずむ後川駐在所(篠山市後川上)に、地域住民たちが続々と詰めかけた。その数、老若男女合わせて100人以上。ちょっとしたお祭り騒ぎのようだった―。
 14日、定期異動により、この駐在所を去ることになった福井巡査部長を見送るために集まったのだった。「ありがとう、お元気で!」と書いた横断幕を掲げ、お別れセレモニーを開始。子どもたちから寄せ書きが贈られ、住民たちからも数々の感謝の言葉が送られた。
 熱意ある献身的な勤務態度が住民たちのハートをわしづかみにしたようで、「福井さんを異動させないで」という署名活動まで巻き起こり、300人以上の思いのこもった嘆願書が篠山署に届けられるほどの人気ぶりだった。
 いよいよ車に乗り込み異動先に向けて発進。手を振って見送る住民たち。すると、数十走ったところで車が大きくよろめいた。それを見た住民たちは「福井さん、涙で前が見えとらへんで」と笑っていたが、そういうあなたの目が潤んでいたことを私は見逃さなかった。そんな私の目もまた、ぼんやりと霞んでいた。(太治庄三)
 

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