廃校回避の努力乏しく

2011.10.22
未―コラム記者ノート

 県病院局が、看護専門学校卒業生で県立病院で勤務する人が減っているなどとして、県立柏原・淡路の看護専門学校の廃止を打ち出した。
 民間が早くから取り入れていた奨学金を県が始めたのは今年度。病院説明会など、看護師の卵に振り向いてもらう努力を始めたのも遅かった。看護師でなくても都市部に憧れるのは当然。「人材流出」を嘆く県が、流出を食い止める努力をどれほどしたというのか。
 柏原看護の入学辞退者が多く、新入生40人の定数を割り込むのも、入試の時期が遅く、選考方法が一般入試しかないことが災いしている。試験を前倒しし、推薦入試を行うなどの工夫もなかった。廃止ありき、ととられても仕方ないだろう。
 新しくできた養成機関は、ほとんどが私立4年生大学。「投資に見合う」と県病院局は言うが、経済上の事情で、初期投資ができず、道を断たれる人が出てくる。この看護師不足の時世にあって、だ。
 県の判断は、衰退している丹波市の医療に、とどめを刺しかねない。医療のみならず、地域が衰退するのではと、非常に危惧している。(足立智和)
 

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