以前、丹波市の若手職員が村上信夫・元NHKアナウンサーを囲んだ研修会を取材した。職員たちに丹波市のメリット・デメリットを尋ねる村上さんに、1人は「公共交通機関がないのが不便ですね」と話し、一方である職員は「車があれば大抵のことは事足りるので、便利ですね」と話した。
取材中に「よくまあこんな田舎に来たね」と言われる。広島の実家もかなり田舎だが、言外に「若者は都会へ行きたいものなのに」という意識を感じる。だが、若者に今の都会は魅力的だろうか。
「服を買いたい」「CDを買いたい」など、昔は都会が満たした欲求は、郊外のショッピングモールやインターネットで代用できる。ある洋服ブランドは売上の半分がネット販売なぐらいだ。反対に都会ではチェーン店が増え、郊外でも揃うアイテムが並ぶ。田舎でも都会と同じような文化生活ができるようになるなか、若者の花の都会に憧れる気持ちは変わっている。
車があれば事足りると発言した職員にこの風潮を感じる。丹波市の若者定住に、追い風になるかもしれない。ただ、車の維持が、若者には悩みの種だが。(河本達也)