白いカラスが飛んどるで―。篠山市今田町のごく限られた住民の間で話題になっている。情報をもとに、ひんぱんに白ガラスが目撃されている場所に何度か足を運んでいるものの、いまだ出会えていない。
黒いカラスが白い訳は、先天的にメラニンが欠乏する遺伝子疾患「アルビノ」によるもの。アルビノ個体は、さまざまな動植物で見られ、古くから神の使いや吉凶の前触れなどと信仰の対象にされ、地元の人たちは大切にしてきた。現代でも、山口県岩国市でアオダイショウのアルビノが白ヘビとして国の天然記念物に指定されているほか、琵琶湖に生息するイワトコナマズやビワコオオナマズのアルビノを「弁天ナマズ」と呼び、地元の猟師たちの間では竹生島の弁財天の使いとされている。
私もこれまでに、ツバメとセグロセキレイのアルビノ個体を写真に収めている。撮影していて気付いたことだが、いずれのアルビノ個体も仲間から激しい攻撃を受けており、見ていて気の毒になるほどだった。容姿は同じでも体色が全く違えば、外敵とみなすのか。頭の賢いカラスではどうなのだろう。何とか写真に撮り、紙面を飾りたい。(太治庄三)