「志」感じた市長選

2012.11.22
未―コラム記者ノート

 激戦の丹波市長選挙が幕を閉じた。市長選に出馬した稲上芳郎氏とは同じ1973年生まれ。戦いぶりを興味深く見ていた。
 若い世代が立候補するのは難しい。第1に、陣営が作れない。同世代は日中働きに出ている。2つは経済面。早く立候補を表明し、選挙運動ができるほど、蓄えもない。告示日間際に立候補表明とならざるを得ない。
 現職市議に多いように、自営業者は比較的選挙に立候補しやすい。会社を辞し、市長を正業にしようとした稲上氏には、よほどの思いがあったのだと推察する。全国の維新政治塾生の人的応援を得て、超短期決戦で勝つ。もちろん勝算はあった。「このやり方で当選できなかったら、若い世代が市長になるのは不可能」と何度も言っていた。
 市政を間近に見ている立場からすると、正直、訴えの中身に甘い部分を感じないでもなかったが、それを有権者に感じさせない勢いがあった。敗れはしたが、仲間に支えられ堂々と渡り合った。久しく忘れていた「志」の言葉を思い出させてもらった。同時に、志だけで勝てない選挙の厳しさも再確認した。(足立智和)
 

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