「フタトゲチマダニ」というダニの一種が媒介する新種の感染症「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)ウイルス」が国内で初確認され、巷を騒がせている。この感染症により、昨年の秋に山口、愛媛、宮崎の3県で3人が死亡した。現在のところ有効なワクチンはなく、致死率は10%を超える。中国では2009年からSFTSの症例が報告されており、11年に初めて原因ウイルスが特定された。中国ではすでに約200人が感染したという。
このダニは日本全国に分布し、森や草むらなどに普通に生息している。成虫の大きさは3―4ミリ、血を吸うと10ミリ程度にまで膨れ上がる。死に至るダニ媒介性疾患は、国内ではこれが初めてのことではない。「ツツガムシ病」などもその一つで、一昨年には37都府県で459人の患者が報告され、毎年数人亡くなっている。
感染の初期は、発熱やおう吐、下痢など風邪の症状に似るという。専門家は、「かまれて無理に取ろうとすると、ダニの体内の血液が逆流し、感染のリスクが高まるので、ダニを付けたまま病院へ」と注意喚起している。(太治庄三)