丸めたティッシュをゴミ箱に投げ入れるのがずいぶんとうまくなった。テレビなどでは「花粉の季節が収束しつつある」と報じているが、私の鼻の蛇口は一向に締まる気配がない。今年の花粉症の症状は本当に重い―。
草木も眠る午前2時。鼻づまりからくる口の渇きで気分が悪くなり、「ふがーっ」と目覚める。毎回決まってこの時間だ。寝るに寝られぬ苦しい日々。何度も鼻をかんではくしゃみを繰り返し、鼻の奥の痛みが引くのと、再び眠気がやってくるのを、天井の一点をぼんやりと見つめながら待つ。そんな夢うつつで辛いひと時、無理やり起こされた脳みそは不機嫌で、よからぬ事ばかり考え始める。
福島原発事故のことや、いつ起こってもおかしくない南海トラフ地震など、世紀末を連想するような大きな問題から、過去の嫌な出来事などを次々に考えたり思い出したり。頭の中が普段になくネガティブ思考になって一人落ち込む。
ふと我に返り、窓の外から飛び込んでくるにぎやかなカエルの合唱に気づく。毎年、田植えの頃に私の鼻は落ち着きを取り戻す。あともう少しの辛抱だ。(太治庄三)