東京―篠山

2013.06.22
未―コラム記者ノート

 横浜の友人に「関東弁」と言ったら笑われた。「関東弁じゃなくて標準語。これだから関西人は。関東に対するコンプレックスの象徴だね」
 思わずむっとする。正確に言えば関東弁と標準語は別だ。とはいえ、私自身も混同して言ったことは否めないので、反論はしなかった。個人的には、確かにコンプレックスはある。新宿なんて歩けば人の多さにめまいを起こすし、歩く人がみなかっこよく見える。
 昔は「東京都」のことを「ひがしきょうと」と読み、「京都の東版か」と罵った(ちなみに私は京都出身)。
 けれど大人になるにつれて世界に誇る大都市であることを知り、憧れとともに劣等感を覚えた。気軽に行けない距離がもどかしさを加速させた。
 ところがだ。この篠山から東京行きのバスが毎週4日も出ている事実を知った。乗り込んで寝たら朝には東京に着いた。近いやん。記事にしたら反響も大きかった。
 実に痛快。ほっほっほ。東京の諸君、私たちは直通なのだよ。気軽に遊びに来たまえ。
 こんなことを言っている時点で、いまだにコンプレックスはぬぐえていないのかもしれない。(森田靖久)

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