ノミができないから

2013.07.20
未―コラム記者ノート

 6月に東日本大震災の被災地、「三陸地方の視察・応援ツアー」を実施し、連載などを通して、その様子を紹介した。
 計画は4月ごろからスタートした。参加してもらった人に見て、聞いて、知ってもらいたいことを行程に盛り込む作業はなかなか骨が折れた。
 私、非常にネガティブ思考で、募集をかけても、「もう震災のことを忘れているのでは」という不安があった。ところが、その予想は見事に裏切られた。募集開始からものの数日で定員を超え、キャンセル待ちが出るほどの反響だった。
 「行きたかったけれど、チャンスがなかった」「一人で物見遊山のように行くのは気が引けていた」―。忘れるどころか、ずっと気にかけておられたようで、涙が出るほどうれしかった。
 参加者から異口同音に聞こえたのは、「復興はまだまだ」という感想。その通り。まだ何も終わっていない。
 同じ日本で、今、苦しんでいる人たちがいる。私たちが個人でできることはノミのように小さい。でも、個人でできないことのためにあるのが政治ではないか。
 今日、21日は投開票日。(森田靖久)
 

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