県内におけるツキノワグマの目撃・痕跡件数が4―7月末の4カ月間の記録としては過去最多の235件になった、と前号で報じた。実りの秋、クマが食糧として大きく依存しているドングリ類の実り具合によっては、さらに人里に出没する恐れがあると、専門家は注意を呼び掛けている。
その取材の中で興味深い話が聞けた。クマの目撃数増加の一因として、ドングリのほかに、個体数自体が増えているということ、そして人を恐れない新世代クマの登場だ。新世代クマについては、ずいぶん前から言われていたことではあるが、後継者不足や高齢化などで猟師が減少したため、銃で撃たれたり追われたりした経験がなく、人間の怖さを知らないクマが増えていることが現状としてあるという。20、30代の頃、よく山に入っていた私。クマとの遭遇は、北海道の羅臼と京都府の芦生の2回。北海道では約50の至近距離だったので、腰が抜けそうになったことを覚えている。
これからキノコ狩りやハイキングの好季節を迎え、山に分け入る機会が増える。皆さん、クマにご用心を。(太治庄三)