行きつけの美容室で一冊の本を開く。全身が震えた。その名は「シルバー川柳」(社団法人・全国有料老人ホーム協会、ポプラ社)だ。
「LED 使い切るまで 無い寿命」「誕生日 ローソク吹いて 立ちくらみ」「未練ない 言うが地震で 先に逃げ」「飲み代が 酒から薬に かわる年」「妻旅行 おれは入院 ねこホテル」
この哀愁漂うユーモア。大好きです。
この手の川柳で言えば、第一生命主催の「サラリーマン川柳」が有名だったので、シルバーバージョンがあるとは知らなかった。ともに現代社会の暗さをおもしろさに変えていることが魅力だろう。
いかんせん暗い話題ばかりが多い昨今。たまの明るい話題にも、うがった見方をしてしまうところがある。
そんな中で、純粋な笑いをもたらしてくれたシルバー川柳シリーズは数十万部を突破しているという。
ひょっとすると、今、一番求められていることは、ユーモアかもしれないと思った。新聞もまた然りかも。
称賛も批判も、ユーモアも書ける。そういう記者に、私はなりたい。(森田靖久)