ペテルギウス

2013.10.05
未―コラム記者ノート

 愛犬を連れて散歩に出かけた。とっぷりと暮れた夜の道。薄手のシャツで出てきたことを後悔する気温だ。夏が終わったことを実感した。
 空を見上げる。たくさんの星がチカチカと瞬いている。少し青い空にオリオン座が横たわっていた。
 この星座を構成し、冬の大三角の一つでもある巨星「ペテルギウス」に超新星爆発の兆候が観測されたという。
 観測といっても、この星は地球から640光年離れている。星を見ることは過去の光を見ることだから、実際にはもう爆発しているのかもしれない。
 将来、ペテルギウスが爆発した場合、当然、星座も大三角もなくなる。ただ将来と言っても宇宙規模の話。私たちが生きている間に起こる可能性は未知数だ。
 そんなことばかり考えて星を眺めていると、宇宙の前では私たちの命がいかに一瞬の出来事かよくわかる。
 あぁ、人生って何。危うい考えにはまりそうになっていると、見上げすぎた首の痛みが現実に引き戻してくれた。
 愛犬が一つ咳をした。抱き上げると、ぬくぬくと暖かかった。(森田靖久)
 

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