俺ら東京さ行ぐだ

2013.11.07
未―コラム記者ノート

 見出しはもちろん、私が東京に行くというわけではない。言わずもがな、かの吉幾三先生のヒット曲だ。最近、車の中で延々と流れている。歌詞の内容が私の琴線にふれまくるから。
 テレビもねぇ、ラジオもねぇとまでは言わない。けれどコンビニねぇ、マクド(マクドナルド)もねぇ。携帯電話は何者だ?の町で育った。
 父が都会へ出張に行くと、いつも楽しみにしていたのが、土産のハンバーガー。当然、都会は遠い。ハンバーガーもポテトもしなびれていて、氷の解けたジュースは水っぽかった。それが都会の味なんだと思っていた。ハンバーガーは母が炊飯器に入れて温めてくれた。あぁ今思い返せば、涙が出そう。
 東京さ行ぐだとは思わなかったが、昔は都会に出たかった。いつだって地方に生きる若者は同じ気持ちではないか。
 この曲は1984年の作。当時、地方の人々から「言いすぎだ」と猛抗議を受けたらしい。ちょっと笑える。
 でも、私はこの曲の主人公がまた田舎に戻ることを知っている。だって銀座に山はないし、私も今では田舎の方が好きだから。(森田靖久)
 

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