20日、多紀連山3峰の一つ、小金ヶ嶽(標高725メートル)に登ってきた。晴れてはいたが雲が多く、また風も強くて肌寒かった。紅葉(黄葉)はピークをやや過ぎていたが、まだまだ見頃。この時期の週末は、多くのハイカーでにぎわっているが、この日は平日。小金ヶ嶽への登山はどうやら私一人のようだ。
一人ぼっちの静かな山歩き。シカなどの獣との遭遇を期待したが、結局叶わなかった。それでも、切り株の上にテン(イタチの仲間)が誇らしげに糞を残していたり、マツボックリがエビフライ状にかじられたリス特有の食べ跡を確認できるなど、姿こそ見られなかったが、獣たちの確かな息遣いを感じ取ることができた。
13時半ごろ、北の空がにわかに曇りはじめた。この気温で雨に打たれてはまずいと、慌てて下山を始めるも間に合わず、木陰に身を潜めていると、雨音がシャラシャラという、にぎやかな音に変化し、なんとあられが降り出した。1分程度の出来事であったが、紅葉にあられ。なんとも意外な取り合わせに目を丸くした。思わぬ時期に思わぬ場所で冬の足音を聞くこととなった。(太治庄三)