大賞「最後の田んぼ」

2014.02.01
未―コラム記者ノート

 先週末、篠山市で25回目を迎える全国アマチュアビデオコンテスト「丹波篠山ビデオ大賞決勝大会」が催され、取材に出掛けた。
 ノミネート15作品が公開上映され、映像の専門家による審議や来場者の投票によって審査された。なかでも、やはり大賞に輝いた豊中市の男性の作品「最後の田んぼ」が印象深かった。
 作品の舞台は、千里ニュータウンの開発から除外された地区。昔ながらの田園風景が広がるその地区も、高齢化に伴い、田畑を手放す農家が増え、そこに宅地開発の波が押し寄せてきた。
 作品の主人公は、マンション群の中にポツンと取り残された田んぼで、懸命にコメ作りを続ける70代の男性。しかしその男性も年には勝てず、ついに離農することに。その男性の心境と宅地化が進む農地環境を、静かな語り口のナレーションとともにおさめた作品だった。
 高い固定資産税を払いながら、儲けのないコメを高齢者が作る。日本の各地で起こっている里山荒廃の過程を、7分間の短い時間の中で見させてもらったような気がした。(太治庄三)
 

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