買って支える「氷上牛乳」

2014.02.08
未―コラム記者ノート

 兵庫丹但酪農が、製造拠点のプラントのあり方を検討していることを知ったのはしばらく前のこと。取材して初めて、早ければこの3月末にも閉鎖の可能性があったことを知った。
 今回、製造・販売部門を組合から切り離し、新会社が、牛乳・ヨーグルトの製造を続ける運びになった。「氷上牛乳」は、二度と味わえない「思い出の味」になったかもしれなかった。
 衛生管理に価格競争と、食品業界は厳しい。酪農を取り巻く状況もまた厳しい。飼料は高騰、衛生的に牛舎を保つための設備投資が必要なのに、生産者乳価はなかなか上がらず、人口減で需要は減少。後継者問題がつきまとう。
 そんな中でも、新会社が製造を続ける決断が下された。商品だけでなく、衰退する酪農そのものを高付加価値化に転ぜられる可能性が、大消費地に近く、丹波ブランドがあるこの地域にはあり、長年に渡って組合が高品質の製品を作り、築いた信頼があるからこそできた決断だろう。
 なくなったら惜しい、こんなにおいしいのに、もったいない。同じように思う人は、買って支えよう。(足立智和)
 

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