新婦の手紙

2014.03.06
未―コラム記者ノート

 友人の結婚式に出席した。人生の門出を迎え、多くの人に囲まれて祝福された2人は、本当に幸せそうだった。
 出席者全員で写真を撮るとき、人波に流されて私がたどり着いたのは、新郎新婦の真後ろ。完全に親族ポジションだ。でき上がった写真を見て、2人の親族は苦笑いを浮かべていることだろう。
 新婦の両親への手紙には、心を動かされた。「私の家は自営業。他の子の家に比べ、我慢することが多かったと思います。それでも、日頃の何気ない出来事に感謝するということに、もっと早く気づけていれば良かった。今でも間に合いますか?お父さん、お母さん、あなたたちの間に生まれて幸せです」―。
 ああ、思い出しても泣きそうになる。新婦の手紙はいつも心を打つ。決して涙もろいというわけではないが、人生のうちで、自分のこと以外で感動の涙を流すことは少ないのではないだろうか。次に流す涙は、自分のことでありますように。
 新しいスタートを切った友人夫婦。末永くお幸せに。心の底から、おめでとうと言いたい。(田畑知也)
 

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