川崎さんの人物像

2014.08.02
未―コラム記者ノート

 今さらだがNHK大河ドラマ「八重の桜」を見た。「幕末のジャンヌ・ダルク」、「日本のナイチンゲール」と称えられた新島八重が主人公。だが、私は別の人物を注視していた。「川崎尚之助」である。
 丹波地域からほど近い出石出身。江戸で蘭学や砲術を学んだ後、会津へ。そして、八重の最初の夫となる。
 この川崎さん、昔のドラマでは、戊辰戦争の折に会津から「逃げた男」。史料が乏しく、八重と離縁していることから想像で描かれたよう。
 だが今回は全く別人に描かれていた。八重を愛し、会津のために奔走。離縁は八重に責任を負わせないためだった。
 この人物像へ導いたのが、歴史研究家のあさくらゆうさん。新選組の前身、「壬生浪士組」に丹波出身の谷右京がいたことを発見した人だ。来丹された折には取材に協力していただいたこともある。
 あさくらさんが発見した史料から、先に書いた本来の川崎が浮かび上がり、実に魅力溢れる人物になっていた。
 歴史は、史料、見る視点、そして想像力でどのようにでも変化することを改めて思い知らされる。あさくらさん、お見事でした。(森田靖久)
 

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