丹波市を襲った豪雨被害から、1カ月が過ぎようとしている。篠山支局に籍を置く私も、幾度か現地に入り、取材をしてきた。
そんな中、市島町の友人から電話。「被災からずっとテレビが見られなくて、みんなドラマの続きが気になって仕方がない。何とかならへん?」
すぐに録画したドラマを使って、ささやかな上映会を開かせてもらった(もちろん無料)。そして、ふと震災で被災した東北の取材を思い出した。
被災当初からしばらくは泥だしや家具の搬出などのボランティアが求められた。
その後、復旧が進み、平静を取り戻したかに見えた裏側で、被災者は新しい苦しみに襲われる。あわただしい生活が落ち着いた後、心の針が元の位置に帰ってきた瞬間、やっと、悩み、考える余裕ができてしまうというのだ。
丹波でも今後、こんな胸の痛みを和らげる支援が求められる。ドラマもいい、一緒に歌ってもいい、ただ集まって茶でも飲みながらおしゃべりするのでもいい。体を使うだけがボランティアではない。
私も私的に、あるいは紙面を通じて、そんな支えになりたい。(森田靖久)