県立柏原と柏原赤十字両病院を統合する新病院の機能や場所などに意見を述べる「統合再編検討懇話会」。先月と今月の2度開催で「おしまい」の可能性がある。
両病院の機能低下は2005年度に顕在化した。統合などの抜本対策を講じず先送りを続け、今になって「2018年度中」と勝手に目標を定め、「間に合わすには年内に基本計画をまとめる必要がある」と言われても、白々しく感じる。
「遺漏なきよう」あれもこれも盛り込まれた新病院の機能面は、懇話会委員の一流学識経験者に任すとして、地元の事情をご存知ない専門家に任せられないのが、建設場所だ。事務局が示した4案は、県と赤十字、県の外郭団体の土地の「手駒」。新病院は丹波市民病院でなく、丹波地域の中核病院だ。「手駒」「2018年度」の縛りを解き、最も集患できる最適地を選び、将来の負債を抑制するため今、時間をかけて考えるべきだ。
考えるべき時に考えなかったから05年度から昨年度までの9年間で、2病院で114億円もの巨大赤字を出した。同じ轍を踏むことは避けねばならない。(足立智和)