車を運転していると、前方50ほど先に薄茶色の物体。猫にしては大きいと思っていたら、通り過ぎざまに目があった。立派なサルだった。
私の実家、京丹波町での話である。そして、このおサルさんの実家は篠山だとか。
市内には4つの群れが確認されており、サルに取り付けられた発信機の情報から、京丹波に隣接する西紀北地区などを主な行動範囲にしているA群が越県して来ていることがわかっている。
私が見かけた際は地域の方がロケット花火を打ちまくっていたが、サルはどこ吹く風。器用に柿をもいでほおばっていた。ほかにもコメやジャガイモ、クリなども食べられ、農家を悩ませている。
季節は秋の盛り。黒枝豆を中心に丹波の実りを楽しもうと、都市部から多くの観光客が押し寄せている。しかし、その裏側で農家は、天候だけでなく、獣ともし烈な争いを繰り広げている。それらを越えて売られる作物であることを、観光客にも知ってほしい。
父がぽつり。「あのサルたち、篠山からバスで迎えに来てくれてないやろか」。押し付け合いではない対策があればいいのだが。(森田靖久)