「最近の袋ラーメンが気に食わん」。取材先のおじさんとの会話。何が気に食わないかというと、最近、「生麺」を目指した袋ラーメンが増えてきていること。
私もおじさんも、日清食品「チキンラーメン」の愛好家だ。絶妙な味わいの鶏がらスープ、縮れた麺。1958年の発売以来、変わらない味。互いに鍋で煮るよりも、丼にお湯を注いで3分という食し方が好みだった。
おじさんは言う。「袋ラーメンには袋ラーメンの良さがあって、もう確立されているのに、店の真似事をしようとする。余計なことをしなくてもいい」。私も激しく同意した。
そして、締めの一言。「丹波新聞も同じやないか」。今度はどきりとした。
新聞業界にいる以上、いつも日刊紙を比較対象にしてしまう。そして、全国ニュースにも手を出してしまう。だが、それは丹波新聞読者が求めていることなのか。真似事としての変革よりも、今の味をより良いものにすることのほうが大切ではないか。
変わらない良さ。それをプライドにせよ。おじさんの言葉が、チキンラーメンをすするたびに頭を巡る。(森田靖久)