200年続いた彫刻師一統

2014.11.22
未―コラム記者ノート

 本紙日曜版に連載中の「柏原ゆかりの彫り物師中井一統の技」。筆者は、柏原町在住の元高校教諭、岸名経夫さん(77)で、江戸時代1750年ごろから約200年にわたって柏原を拠点に活躍した彫刻師、中井一統の足跡を熱心に辿られている。
 調査の始まりは2011年。元同僚の2人とともに、丹波市、篠山市、但馬、京都府北部の250カ所前後の寺社仏閣を巡り、うち220カ所以上で一統の彫刻に出会った。賛同者で「中井権次顕彰会」も立ち上がり、ゆかりの寺社を紹介するマップ作りが進んでいる。
 中井家のルーツは、徳川家康お抱えの京大工頭だったらしい。柏原に住むようになった中井家の初代は八幡神社の三重塔の建築に携わり、4代目からは彫刻師として本格的に仕事を始めた。圧倒的な仕事量で、「全国をみても、これほど長年にわたって広い範囲に作品を残している彫刻師はいない」(岸名さん)そうだ。
 これまでにも調査をした人たちがおられたが、市民に広く知られるまでには浸透していなかった。マップの完成を機に、さらに存在が広まればと思う。(古西 純)

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