絡みつく意見

2016.07.28
未―コラム記者ノート

 原発事故の際に甲状腺がんのリスクを低減する安定ヨウ素剤。これまでは錠剤か粉末しかなかったが、乳幼児も服用できる製品が開発された。
 今年度は30圏内の自治体に配備されるが、独自に事前配布を行っている篠山市の酒井市長が来年度以降、配備に意欲を見せている。
 安定ヨウ素剤関連を扱う際、いつも3つの意見がキーボードを打つ手に絡みつく。
 「そもそも原発がなければ、安定ヨウ素剤もいらない」
 「原発は不要だが、今はなくならないので、対策は必要」「原発は必要。もしもの時のために準備しておけばいい」
 篠山市の場合は2つ目の意見になると思う。
 現状、国は原発政策を推進している。利権がある、代替エネルギーが確立されていない―。さまざまな情報があふれているが、無学な私には判断がつかない。
 ただ、現地でも、丹波でも、何度も会っている福島の人々のつらさだけは見てきた。だから、原発事故があのような悲しみを生み出すものだということはわかる。
 準備をしながら、先のことを考える。それしかないのかもしれない。(森田靖久)

関連記事