小さい春見つけた

2017.02.25
未―コラム記者ノート

 冬枯れの褐色が広がる自宅の庭先で、フキノトウを見つけた。小さくてひょろひょろとした頼りないサイズだったが、それでも枯れた芝の中からのぞかせる鮮やかな黄緑色からは暖かさが伝わってきた。
 「小さい“春”見つけた」と気持ちが高ぶり、腰をかがめてさらなる小さい春を探してみる。オオイヌノフグリ、ホトケノザ、セリバオウレン…。次々と目に留まり、この時期の野辺のにぎわいぶりに少し驚いた。晴れた日などには、これまで沈黙していたコジュケイが裏山で「ピッピッピッピックィー、ピックィー」と特徴的なさえずりを大音量で響かせるようになってきた。山際の湿地では、寒天質のアカガエルの卵塊が見られる。その中にある無数の黒い卵は、すでにオタマジャクシの姿となり、卵塊から飛び出して泳ぎ回る日はもう間もなくだ。
 吹き渡る風にはまだ身が縮みあがるが、こうして季節がきちんとめぐっていることにほっとする。重度の花粉症の私にとっては、手放しで喜べる季節ではないが、今年は雪が多かった分、春の到来が待ち遠しい。(太治庄三)

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