映画「沈黙」

2017.02.02
未―コラム記者ノート

 丹波市春日町黒井の陶芸家、芥川清さん・啓子さん夫妻が、ハリウッド映画「沈黙―サイレンス」に陶芸作品を提供したという取材に行ったのは、2年ほど前のこと。当時は台湾での撮影が終わった時期で、日本公開は未定だったが、このほど上映がスタート。公開初日に観賞した。
 遠藤周作が原作で、キリシタン弾圧下にあった江戸時代初期の日本が舞台。宗教や信仰をテーマに扱っているだけに、重たい作品だ。目をそむけたくなるような拷問のシーンもある。フィクションだが、史実を基に描いた作品であることが一層、現実にあったこととして恐ろしく感じた。
 夫妻は映画への作品提供が続いており、一昨年の「日本の一番長い日」、今年8月公開の「関ケ原」にも提供。幕末を舞台に描く作品への提供の話も来ている。「石もの」と言われる磁器、「土もの」と言われる陶器、その両方を作り出せる“引き出し”の多さが依頼につながっているという。
 映画「沈黙」の中で、雨が降って土がぬかるんでいるシーンがある。清さんは「ええ土やな。ええ器作れそう」と思ったそう。根っからの陶芸家だ。(田畑知也)

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