都会で暮らす友人からメール。「今年は蛍どない?」。以前、私が実家、京丹波町で撮影した蛍の写真を見てから、「いつか行きたい」と言っていたのを思い出した。
両親に伝えたところ、都会からの御一行様の受け入れ態勢の整備にてんやわんや。「まずはジャガイモ掘りしたらどうや」「夕食はオードブル取ったさかい、あとはおにぎりと野菜くらいでええやろか」「土産は米と野菜でどや」
田舎人には、「おもてなし」精神が根付いている。幸い、両親が用意したメニューに友人家族は満足してくれた。
夕食後、街灯が数本しかない闇の中を歩く。神社の横を流れる川に着くと、淡い光が乱舞していた。子どもたちがキャッキャとはしゃぐ。小学校が閉校してから、ほとんど聞くことのなかった声色だ。
蛍は確かにきれいなのだが、それ以外は何もない村。それでも友人は、「あんないいところはない」と絶賛してくれる。「子どもたちが生き生きしているのが最高」なのだそう。
見慣れた景色の良さは、外の人が発見してくれるものなのかもしれない。次回から観覧料を頂こうか。(森田靖久)