水鉄砲と原発事故

2017.09.07
未―コラム記者ノート

 稲刈りの風景があちこちで見られるようになり、いよいよ夏も終わりかと少し寂しい。東日本大震災で原発事故のあった福島も同じように秋の気配が漂っているのだろう。

 篠山市の村雲地区まちづくり協議会が今夏、福島県の小・中学生を受け入れ、交流会を開いた。福島の子どもたちは、竹で水鉄砲を作り、水を飛ばして大騒ぎ。野菜たっぷりのカレーライスをほおばり、汚染のない自然の中で思い切り羽を伸ばしているようだった。

 その後の交流会で子どもたちは、当時の様子を振り返りながら訴えかけた。「人ごとだと思わないで」「原発のことを深く考えてほしい」「もう原発はいらない」「同じように悲しむ人が出るのはもうたくさん」「デモに参加しています」―。

 水鉄砲を楽しんでいたのと同じ子とは思えないほど、さっきまでのきらきらとした表情は、大人社会の矛盾を問いかける凜とした表情に変わっていた。

 暑かった夏を振り返る時、その時の福島の子どもたちの様子が、不思議と印象深く思い出されるのだ。(芦田安生)

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