「羅針盤」を注視

2018.12.16
未―コラム記者ノート

 11月に行われた篠山市の住民投票で丹波新聞初の出口調査を実施した。「市名」というデリケートな問題に対し、市民の思いをくんだ記事が必要だと考えたからだ。1500人を超える人に協力してもらったが、実際の投票者数から見れば16%。「これで全体の動向がわかるのだろうか」と不安にさいなまれた。

 しかし、統計学は恐ろしい。続々と集まるデータは、毎日、賛成50%代後半、反対40%代前半。結果と大きな差異はなかった。賛成、反対の理由も貴重なデータになり、市民の“生”の声を伝えることができた。協力いただいたみなさんに感謝したい。

 さて、小紙の内情はともかく、議論は決着した。以前はあちこち市名が話題になっていたが、投票以降、ぴたりとやんだように思う。「勝っておごらず」「負けて腐らず」。やはり、そんな市民にこそ、「お見事」と拍手を送りたい。

 年が明ければ、新しい元号と市名がすぐそこ。ただ、問題はこれからだ。「変わって良かった」と誰もが思えるように、未来への、そして市民の良き「羅針盤」となるべき、行政や議会の動きを今後も注視したい。(森田靖久)

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