ツキノワグマ命拾い 「誤捕獲」で山奥に放獣

2018.12.06
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誤って箱わなにかかったツキノワグマの成獣=兵庫県丹波市青垣町内で

丹波市内で連日のようにツキノワグマの目撃が相次ぐなか、青垣町内の狩猟用の箱わなに12月1日、オス1頭がかかっているのを猟師が見つけた。県は今月14日までクマ猟を認めているものの、銃猟のみで、わな猟は認めておらず、誤ってわなにかかった「誤捕獲」扱い。県、市の担当者によって麻酔をかけられた後、市内の山奥に放獣された。

眠らされ、計測されるツキノワグマ。胸にくっきり「月の輪」が

同日午前9時10分ごろ、同町寺内の猟師、片山満さん(70)がイノシシ、シカをねらって仕掛けていた箱わな(高さ1メートル×幅1メートル×奥行き2メートル)にクマがかかっているのを見つけ、関係機関に通報した。計測によると、全長1・36メートル、体重83メートルの成獣だった。毛並も良く、胸にくっきり月の輪模様が見えた。
近くのスギ林に、木の穴に営巣したミツバチのハチミツを食べようとクマが荒らした跡があり、付近では11月下旬からクマの痕跡の目撃が相次いでいた。

片山さんは「山に向けていたおりの扉が、畑側に180度回転していた。すごい力で相当暴れたんだろう。鉄の箱わなが壊れかかっていた。まさかクマがかかるとは」と舌を巻いた。講習を受講し、銃によるクマ猟の許可を持っているが、「クマは臆病でなかなか山の中では出会わない。今度、山で出くわしたら是非獲りたい」と話していた。近隣住民たちは、眠らされたクマの大きさに驚くと共に、「これで安心できる」と胸をなでおろしていた。

クマに荒らされた、スギに営巣していたミツバチの巣

県森林動物研究センターによると、民家の敷地内や住宅近くでカキの木を折るなどクマによる被害が生じた後、役所に届け出て設置する「有害捕獲」わな以外で、わなにかかったクマを獲ることはできないという。片山さんのわなは狩猟目的で、近隣から有害捕獲の申請が出ておらず、有害捕獲用のわなは設置されていなかった。

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