右足使い

2019.05.30
丹波春秋未―コラム

 歩行者を巻き添えにした車の大事故が相次いでいる。アクセルとブレーキを踏み間違えて猛スピードが出てしまったというのが有力な原因の一つに挙げられている。

 筆者は免許取得後、20年間ペーパードライバーだった。その後、先に運転し始めた妻に教わり、アクセルは右足、ブレーキは左足でと踏み分ける方法を身に着けた。ベテランのタクシー運転手のアイデアだそうで、無意識でも足が覚えているので踏み間違いはまず起こらない。

 筆者が自動車学校に通っていた頃はクラッチの付いた車しかなく、左足はクラッチを操作しなければならないので、必然的に右足でアクセル、ブレーキを踏んでいた。今は大半がノークラッチなので、それだけを運転する限り、左足をブレーキ専用に温存するのが合理的だと思う。

 数年前、初めて通った明石市内の狭い道で、左右に家が建て込んだ見通しの悪い三差路に差し掛かかった時、正面左から来た車に気付くのが遅れて、とっさの所で急ブレーキをかけた。衝突寸前で危うきを逃れたのは、反射的に左足が動いてくれたお陰だ。

 友人らにこの運転法を話しても、たいていは一笑に付される。高齢者講習でも「そんな変なやり方はやめて」と言われた。ずっと右足使いに慣れている人には、確かにこの方法は今さらは無理かも。(E)

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