阪鶴鉄道

2019.05.26
丹波春秋未―コラム

 先ごろ丹波大山駅でイベントが催されたのに続いて、きょう26日には谷川駅で、6月2日には石生駅で「食と音楽」のイベントが開催される。今年は、JR福知山線の前身である阪鶴鉄道が福知山まで開通し、120周年になる。節目を祝うイベントにもなるに違いない。

 明治32年7月15日。阪鶴鉄道が開通したこの日、お祭り騒ぎのにぎわいを呈したようだ。当時の新聞に掲載された試乗記が「福知山鉄道管理局史」に収録されており、柏原から福知山までの車内や沿線住民の模様などを伝えている。

 午前11時に柏原に到着。村会議員や区長とおぼしき身なりの人たちがどやどやと乗り込み、車内は「蒸し風呂」のよう。その後の駅でも乗り込む人は絶えず、車内で立っていても揺れないほどの混みよう。沿線には、国旗を掲げる家が見られ、汽車と競走する子どもがおり、酒をくみ交わしながら汽車を眺めている人たちの姿もあったという。

 住民を歓喜させた阪鶴鉄道の開通。画期的な1日を無事に迎えた陰には数多くの功労者がいた。たとえば、前述のイベントの会場でもある丹波大山駅と谷川駅。この両駅の土地はそれぞれ森六兵衛、大志野幸太郎という、その地の名士が無償提供したものだった。

 先人の志が丹波地域に鉄道を走らせた。見習いたい志である。(Y)

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