分かっているつもりだったのに、いざやってみると思うようにいかない―。焦っている場面だとなおさらだ。
丹波篠山市は災害時を想定し、東岡屋自治会をモデルに、体の不自由な要援護者一人ひとりに応じた「避難のための個別支援計画(災害時ケアプラン)」の作成作業を進めている。自治会役員や、要援護者のご近所さん、要援護者の心身状況を理解しているケアマネジャーらが集まって個別ケース会議を開いた。
難病で電動車いすを利用している73歳女性のケース会議では、まず災害が起きた時に誰が駆け付けるのか、難病の当事者の体を住民で動かせるのか、電動リフトなしで外に運び出せるのか―など、想定できることを一つひとつ確認していく話し合いは、とても現実的に思えた。
市が目標にする「誰一人とり残すことのない防災」は当然のことに聞こえるが、それができる体制になっているかと問われると、ドキっとする自治会は多いはず。独居のお年寄りや車いす利用者などに対してのケース会議こそ、それぞれの自治会で開く必要があるのではないかと感じた。
(芦田安生)